会議のあと、「議事録、お願いできますか?」と言われて内心ヒヤッとした経験はありませんか。
- 何を書けばいいのか分からない
- 発言を全部書こうとして追いつかない
- これで合っているのか自信がない
- そもそも議事録って下っ端の雑用では?
そんな不安から、議事録作成をできれば避けたい業務だと感じている方もいるかもしれません。
特に新入社員の方や、事務作業に慣れていない方ほど議事録作成はプレッシャーが大きい仕事です。
ですが、私は議事録を単なる記録作業や雑用とは考えていません。
議事録とは、関係者に対して
「私はこの会議をこう理解しましたが、皆さんの認識と合っていますか?」
と確認するための、極めて重要なコミュニケーションツールだと考えています。
議事録は「うまく書こう」と思うほど難しくなります。
この記事では、議事録作成に自信がない人ほど知っておきたい『考え方のポイント』を中心に解説します。
今回の記事ではWordの操作手順よりも「どう考えれば楽になるか」に重点を置いています。
議事録は「記録」ではなく「共有のための道具」
まず大事な前提として、議事録は会議を再現するためのものではありません。
最も重要な目的は、会議に出ていない人や、仕事を引き継いだ後任者、プロジェクトの途中で振り返り確認する人などが
「何が決まったか」を分かるようにすることです。
この視点に立つと、議事録作成は一気に楽になります。
よくある勘違い
自信がない人ほど、こんなことを考えがちです。
- 発言はできるだけ全部書かないといけない
- 議論の流れを忠実に残さないといけない
- きれいな文章でまとめないといけない
ですが実務では、そこまで求められていないことがほとんどです。
議事録は「雑用」ではなく「主体的・主導的」な業務
議事録というと、
「正直めんどくさい」
「なぜか下っ端がやることになりがち」
そんな印象を持っている人も多いと思います。
たしかに、そういう側面があるのも事実です。
ただ、私は議事録を単なる作業や雑用だとは考えていません。
議事録は「私はこう理解しましたが、合っていますか?」という問いかけ
議事録作成の本質は、「私はこの会議を、こう理解しましたが皆さんの理解と合っていますか?」
と、関係者全員に投げかける行為だと考えています。
つまり議事録は、フォローアップのためのコミュニケーションツールです。
この視点に立つと、
- どこが決まったのか
- どこが曖昧なままなのか
- 誰が何をやるのか
を整理して書く理由が、自然と見えてきます。
外部との会議では「こちらの理解」を示す武器になる
特に重要なのが、社外の関係者が参加する会議です。
この場合、議事録はさらに強い意味を持ちます。
議事録を送るということは、「今回の会議について、私たちはこう理解しています」
と、主導的に解釈を提示する行為だからです。
相手がそれに同意すれば、その理解が事実上の前提になります。
逆に言えば、議事録を出さないと、後から「言った・言わない」の水掛け論になりがちです。
プロジェクトによっては、議事録の作成担当があらかじめ明確に定められている場合があります(例:コントラクター会社が作成するなど)。
しかし、担当があいまいな場合には、たとえ自社が顧客・依頼主の立場であっても、思い切って自ら手を挙げてみるのも一つの選択肢です。
議事録を積極的に書く人が、キーパーソンになりやすい理由
確かに議事録作成は、手間もかかりますし、面倒です。
ですが、
- 会議内容を整理できる
- 全体の流れを把握できる
- 誰が何に責任を持っているか分かる
という立場に、自然と立つことになります。
これは、プロジェクトのキーパーソンに近づくポジションです。
特別な発言力や専門知識がなくても、議事録を通してプロジェクトに深く関わることができます。
特に中長期的に続くプロジェクトでは、何度も議論の場が設けられることがあります。
その都度、議事録作成に関わっていると、
- あの時の決定事項はこうでした
- この決定事項の背景にはこういう議論がありました
など、根拠となる議事録とともに非常に説得力のある発言をすることができ、
次第に関係者から、「これどういうことでしたっけ」と意見を求められる場面も増えてきます
会議の場において、必ずしもクリエイティブな発言ができなくても、こうした些細な支援発言の積み重ねで信頼される存在となることができます。
自信がない人ほど議事録作成に向いている理由
少し意外かもしれませんが、議事録作成に不安を感じる人は、実は適性があります。
理由① 勝手な解釈をしない
自信がない人ほど、
- 曖昧な点をそのままにしない
- 決まったかどうかを確認する
- 書いていいか迷う
という慎重さがあります。
これは議事録では長所です。
理由② 「分からない人目線」を持っている
議事録の読み手は、
- 会議に出ていない人
- 内容を詳しく知らない人
です。
「これ、分かりにくいかも?」と感じられる人ほど、読みやすい議事録を書けます。
後で読む人の立場になって議事録を書ける人は、メタ意識のある人、思いやりのある人だと私は思います。
議事録の書き方|押さえるべき基本の考え方3つ
ここからは、議事録を書くときに意識したい基本の考え方を3つ紹介します。
① すべてを書かなくていい
議事録に必要なのは、主に次の3点です。
- 決定事項
- 検討事項・課題(結論が出なかったもの)
- 次回までの宿題・担当
逆に言えば、
- 雑談
- 途中の細かい議論
- その場限りの発言
は、無理に書く必要はありません。
「何を省いていいか」を知ると、
議事録作成はかなり楽になります。
② 文章の上手さより「構造」
議事録で評価されるのは、文章のうまさではありません。
評価されるのは、
- 見出しが分かれている
- 項目ごとに整理されている
- 一目で要点が分かる
という構造です。
Wordで議事録を作る場合も、
- 見出し
- 箇条書き
- コメント機能
などを使って、読み手が迷わない形を意識しましょう。
③ 完璧さよりもタイムリーを意識する
完璧主義より完了主義
チーム仕事では、『完璧主義より完了主義』が最も重要だと考えています。
同じように議事録は「一発で完璧に仕上げるもの」ではありません。
実務では、
- 一度まとめる
- 上司や関係者に確認してもらう
- 必要に応じて直す
という流れが普通です。「とりあえず形にする」これで十分です。
記憶が新しいうちに
普段の業務に追われていると、後回しにしがちですが、議事録の一次案は完璧さよりも早さが重要です。
関係者の合意を得るためには、記憶がまだ新しいうちに、確認してもらう必要があります。
そのためには、会議があった当日中、遅くとも翌日中に発信するのがベターです。
上位者の承認が必要な場合は、不可抗力により時間がかかってしまう場合もありますが、少なくとも自分の手からは放すようにしましょう。
このことからも一次案ではそれほど時間をかける必要はなく、会議のボリュームにもよりますが30分~1時間で作成できる文量で十分です。
最初は時間がかかることもあるかもしれませんが、慣れてくると半日議論した分科会の議事録も1時間もあれば作成できるようになります。
ツールはこだわらない
部署をまたいだ会議や、社外との打ち合わせの場合は、Wordのような文書ソフトを使ってしっかりファイルに残すことが望ましいです。
一方で、チームミーティングのようなラフな打ち合わせでは、メールやチャットを使って『議事メモ』という形で議事を残してもよいと思います。
メールやチャットも最終的にはデータとして保存することができるため、保管性も問題ありません。
メールやチャットは、作成に対する心理的ハードルを下げることができます。
とにかくタイムリーに情報共有することを意識しましょう。
Wordで議事録を作るときの最低限の型
考え方が分かったら、次は最低限の型を持っておくと安心です。
たとえば、以下のような構成です。
1.会議名
2.日時&会議時間
3.開催場所 or Web会議
4.出席者
5.議題
(1)決定事項
(2)主な意見・議論の内容(箇条書きで)
(3)今後の対応(なければ『なし』と書く)
6.次回開催日(必要に応じて)
この型を毎回使うだけで、「何を書けばいいか分からない」状態から抜け出せます。
Wordファイルに『議事録テンプレ』などとして、ネット環境がなくても参照できるローカルフォルダに保存しておくとよいでしょう。
※実務では、組織のルールに合わせて項目を調整してください。

議事録作成の上でのワンポイント
1.会議名
会議案内などで、あらかじめ会議名が明確に示されている場合は、その名称をそのまま記載しましょう。
会議名を統一しておくことで、後から議事録を見返した際にも、どの会議の記録かを正確に把握できます。
一方で、明確な会議名が設定されていない場合は、会議の主題や概要がひと目で分かるタイトルを付けることが重要です。
議事録を読む人が内容を想像しやすく、検索や整理もしやすくなります。
(記載例)
・「○○○の設置に関する打ち合わせ」
・「○○生産終了に伴う対応検討」
2.日時
会議の開催日時は、多くの場合すでに記載されていますが、開始時刻から終了時刻までの時間を明記しておくことも重要です。
会議時間を記録しておくことで、その会議がどの程度のボリュームだったのかが分かります。
また、次回以降に同様の会議を開催する際、どれくらいの時間を見込めばよいのかを判断する材料にもなります。
短い記載であっても、読み手に与える情報量は決して少なくありません。
さらに、海外とのWeb会議の場合は、時差による誤解を防ぐために、時間の表記に
「(日本時間)」や「(JST)」を添えておくと親切です。
(記載例)
○○年○○月○○日 16:00~17:30(JST)
3.開催場所
会議の開催場所は、会議の前提条件を示す重要な情報のひとつです。
そのため、議事録には必ず記載しておきましょう。
開催場所の記録は、単なる事実の整理にとどまりません。
たとえば、社外との会議を持ち回りで実施している場合や、経費削減の観点から年間の一定期間をWeb会議としている場合など、過去の開催実績を振り返る材料になります。
こうした履歴情報は、今後の会議運営や開催方法を検討する際の参考にもなります。
(記載例)
・開催場所:○○社○○事業所○○会議室
・開催場所:Web会議(Teams利用)
4.出席者(参加者)
出席者の記載は、単に「誰が出席していたか」を確認するためだけのものではありません。
各部署や各社の責任者・担当者が、その会議に適切に参加していたかを確認するうえでも重要な要素です。
会議の所掌範囲に対応する責任者や担当者が出席しているかどうかによって、その会議の信頼性は大きく左右されます。
一方で、関係者が限られた、いわゆる“身内だけで決めた欠席裁判のような会議”では、決定事項の効力はどうしても弱くなってしまいます。
そのため、特に対外的な会議では、出席者の所属を含めて記載しておくことが望ましいと言えるでしょう。
(記載例)
・品質管理部:○○部長、○○課長、○○
・製造部 :○○部長、○○課長、○○
・研究開発部:○○部長、○○課長、○○
また、近年はWeb会議と現地参加を併用した会議も増えています。
こうした会議では、現地参加者とWeb参加者の間で、場の雰囲気や雑談を含めた情報量に差が生じやすいのが実情です。
このような情報格差を踏まえ、議事録では現地参加者とWeb参加者を分けて記載しておくと、後から見返した際にも状況が把握しやすくなります。
(記載例)
・現地参加:○○○○、○○○○
・Web参加:○○○○、○○○○
なお、Web参加者が多い場合、その場ですべての名前を書き留めるのは困難です。
Web会議の録画機能やスクリーンショットを活用すれば、後から落ち着いて確認することができます。
会議参加者の名簿が別途ある場合は、「添付名簿参照」と記載することで、記載の手間を省くことも可能です。
明確な議事録の書式が定められていない場合には、Web会議のスクリーンショットを添付する対応でも差し支えないでしょう。
5.議題
(1)決定事項
論文で結論を先に述べるように、議事録でも結論を先に述べましょう。
結論を先に示すことで、読み手に解釈を委ねることなく、会議の到達点を明確に伝えることができます。
また、時間が限られている読み手にとっては、「結論だけ知りたい」というニーズに直接応えることにもなります。
(2)主な意見・議論の内容
会議中の議論は、話題が前後したり、行ったり来たりすることが少なくありません。
そのため、発言の時系列どおりにまとめるのではなく、結論に至った論理の流れに沿って整理することが重要です。
内容は箇条書きで簡潔にまとめると読みやすくなります。
原則として、すべての発言に発言者名を記載する必要はありません。
ただし、特に重要な発言については、カッコ書きで所属や役職を添えると責任範囲が明確になります。
この場合、個人名まで記載する必要はありません。
所属部署や役職など、「どの立場からの発言か」が分かれば十分です。
■メモの取り方について
後から会議内容を書き起こせるよう、会議中は適宜メモを取りましょう。
手書きでもタイピングでも構いません。大切なのは、後で自分が理解できることです。
そのため、会議中のメモは速度を優先し、簡潔に崩した表現で構いません。
メモには様々なテクニックがありますが、例えば以下のような方法があります。
- 意味が理解できなかった(聞き取れなかった)固有名詞は、とりあえず聞こえた音で書き留め、後で検索や関係者への確認を行う。
- 発言の撤回や不採用となった意見は、メモを消すのではなく、見え消し線(
メモ)にする。 - 文章でメモするのではなく、矢印のような記号や単語、省略語を使ってキーワードでまとめる。
- 『✔=決定』『△=保留』『→=宿題』など、オリジナルの記号を使って、マーキングする。
自身のメモだけでは不安な場合は、ICレコーダーやWeb会議の録画機能を活用し、後で確認できるようにしておくと安心です。
近年は、AIを使った議事録作成機能も充実しており、以前よりも活用のハードルは下がっています。
使えるツールは積極的に活用し、効率よく業務を進めましょう。
ICレコーダーやWeb会議の録画機能もまだまだ、100%発言を記録できるわけではないと感じるので、自分自身でもメモは取っておくようにしましょう。
会議中にメモを取りながら、その場で要点を整理していく作業は、その他の業務でも重要になる『論理的思考力』を鍛えるいい練習になります。
(3)今後の対応
会議によっては、参加者以外のメンバーが、議事録の内容をもとに業務を進める場合があります。
そのため、「今後の対応」の欄には、「誰が」「何を」「いつまでに」行うのかを明確に記載しましょう。
責任の所在と期限が明確になることで、実行段階での混乱を防ぐことができます。
なお、特に対応事項がない場合でも、「特になし」と明記しておくと、読み手に安心感を与えることができます。
(ここまでの記載例)
(1)決定事項
・原料Aを使って製造する。
(2)主な意見・議論の内容
・原料A~Cの中では原料Aが最もコストメリットあり。
・原料A~Cはすべて原料規格を満たすが、原料Aのみ不純物d含量≧10ppm。
・納期目安:原料A・・3か月、原料B、2か月、原料C、1か月。
⇒A社には8月1日までの発注で、9月中の納品が可能であることを確認済み。
・原料A~Cを使って製造したものはすべて規格適合(研究開発部)。
・受入試験にて原料Aの純度≧99.5%を確認すること(品質管理部)。
(3)今後の対応
・7月中に原料Aの発注を行う(製造部)。
・10月中に原料Aの受入試験を行う(サンプル採取:製造部、試験:品質管理部)。
6.次回開催日
月次の定例ミーティングなど、継続的に開催される会議の場合は、次回開催日を議事録に記載しておくと親切です。
単なる記録にとどまらず、関係者へのリマインドとしても機能します。
会議終了後にあらためて関係者の予定を調整するのは、想像以上に手間がかかるものです。
そのため、可能であれば会議中に次回開催日を調整しておくと、二度手間を防ぐことにつながります。
議事録のテンプレートに「次回開催日」の項目をあらかじめ設けておけば、会議中の決定事項として意識しやすくなり、決め忘れの防止にもなります。
もし日程調整の話題が出ないまま会議が終わりそうな場合は、
「次回開催日の日程を調整させていただいてもよろしいでしょうか」
と一声かけるのも有効です。
一方で、会議時間が押している場合には、
「次回開催日は後日あらためて調整させていただきます」
と伝えるなど、参加者のその後の予定に配慮した対応を取ることも大切です。
議事録送付時に必ず入れたい一言
議事録を送るときは、
本文の最後に、こんな一文を添えておくのがおすすめです。
「内容に追記・修正がある場合は、○月○日までにご連絡ください。」
この一言があるだけで、議事録が『確認依頼文書』としても機能します。
議事録の追記・修正を行う際には、Wordの「校閲」タブにある機能を活用しましょう。
変更内容の表示を『全ての変更履歴/コメント』にしておけば、誰がどの部分を修正したのかを確認できます。
また、コメント機能を使えば、なぜその修正が必要なのか背景も共有できます。
そのまま上書き修正するのではなく、履歴を残した状態でやり取りすることで、後からの確認やトラブル防止にもつながります。

「確定版」を残すことで、議事録は効力を持つ
期限を過ぎたら、
- ファイル名に「議事録_確定版」のような表記を追加する
- 関係者に「確定版」として再送付する
- フォルダに確定版として保存する
といった対応をしておきましょう。
オンタイムで修正や異議が出なかった、という事実が残ります。
これは決して強引なやり方ではなく、整理された議事録を前提にプロジェクトを前に進めるための工夫です。
結果として、
- 認識のズレを防げる
- 不要なトラブルを避けられる
- 議論においてイニシアチブを発揮しやすくなる。
というメリットがあります。
さいごに:議事録は「書く人が得をする仕事」
議事録作成は、経験を重ねるほど楽になります。
私の経験をもとに大事だと思うポイントを説明しましたが、議事録はちょっとやそっと誤字があったり、読みづらくても大きな問題にはなりません。
最初から上手に書こうとせず、
- 決定事項を押さえる
- 分かりやすい構造にする
- 完璧を目指さない
この3点を意識して、まずは積極的に書いてみてください。
自信がない人ほど、堅実で信頼される議事録を書けるようになります。
議事録は、ただの記録作業ではありません。
- 理解をすり合わせる
- 主導的な解釈を示す
- プロジェクトを前に進める
ためのツールです。
自信がなくても、特別な能力がなくても、積極的に関わることで存在感を出せる仕事でもあります。
「めんどくさいから避ける」のではなく、「自分の立場を作るために使う」
そんな意識で、ぜひ議事録作成に取り組んでみてください。
皆さんのお仕事に少しでも役立てれば幸いです。ではまたノシ

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