Excelで数式をコピーしたとき、「計算結果がずれる」「値が変わってしまう」という経験はありませんか?
その原因は、セル参照が“相対参照”になっているためです。
本記事では、Excel初心者が必ず押さえておきたい
相対参照・絶対参照の違いと使い方、$マークでセルを固定する方法をわかりやすく解説します。
この記事を読めば、より数式が崩れにくい表作成ができるようになります。
相対参照とは?
相対参照とは、数式をコピーしたときに参照先のセルが自動でずれる(相対的に変わる)設定のことです。
Excelの大きな特徴でもあり、大量のデータを効率的に処理できるメリットがあります。
例:相対参照の動き
セルB1に次の式を入力します。
=A1*10

これを下の行にコピーすると…
- B2 ⇒ A2*10
- B3 ⇒ A3*10
- B4 ⇒ A4*10
- B5 ⇒ A5*10

このように、参照セルが下方向に1つずつずれて更新されます。
数式が入力されたセルを別のセルにコピーする際、コピー&ペーストで1つずつ複製することもできますが、マウス操作で簡単に行うこともできます。
1.複製したいセルを選択します。
2.マウスポインタ―をセルの右下に合わせて、マウスポインタ―をプラスマーク+にします。
3.その状態で、コピーしたい方向にドラッグすると選択したセルが、ドラッグ範囲に複製されます。

4.この時最初に複数のセルを選択した場合、選択範囲のルールに従ってコピーされます。
例えば『1』をマウス操作でコピーすると、ドラッグ範囲が全て『1』になります。
一方で『1、2』をマウス操作でコピーすると、ドラッグ範囲が全て『1、2、3、4・・・』と連番になります。

相対参照が向いている場面
- 縦に並んだデータに同じ計算式を適用したいとき
- 同じパターンの計算を行う表を作るとき
Excelではデフォルトが相対参照なので、自然に使っている人がほとんどです。
相対参照の場合、コピー&ペーストとカット&ペースト(または行列の挿入)で、挙動が異なります。
カット&ペーストの場合
『B1 ⇒ A1*10』の数式が入力された状態で、B1をC1にカット&ペーストすると、『C1 ⇒ A1*10』と同じ計算結果がC列に移動します。

コピー&ペーストの場合
『B1 ⇒ A1*10』の数式が入力された状態で、B1をC1にコピー&ペーストすると、『C1 ⇒ B1*10』と同じ位置関係であらたな計算結果がC列に移動します。

今回の例を縦方向ではなく、横方向にコピー&ペーストした場合、相対参照では位置関係がコピーされ、以下のようになります。
- C1 ⇒ B1*10
- D1 ⇒ C1*10
- E1 ⇒ D1*10

絶対参照とは?
絶対参照とは、どれだけコピーしても参照先のセルを固定する設定のことです。
Excelでは、セル番地に $(ドルマーク) を付けることで固定できます。
例:絶対参照の動き
セルC1に次の式を入力します。
=$A$1*B1
セルA1には『10』が入っているとします。
この式を下の行へコピーしても…
- C2 ⇒ $A$1*B2
- C3 ⇒ $A$1*B3
- C4 ⇒ $A$1*B4
$A$1 の部分だけは固定されたままです。

絶対参照が向いている場面
- すべての行で 同じセルの値 を使いたい
- 消費税、定数、割合など 変わらない値を参照 するとき
$マークの付け方(絶対参照にする方法)
絶対参照は、セル参照に $(ドルマーク) を付けることで設定できます。
操作手順
1.数式の中のセル番地(例:A1)を選択します。セル番地の選択はドラッグする必要はなく、セル番地にカーソルがあれば大丈夫です。
2.F4キー を押します。
3.A1 ⇒ $A$1に変わります。

数式の編集は数式バーで行うこともできます。
数式バーの表示は
『表示』タブをクリック⇒『表示』グループ内にある数式バーに☑マークを入れることで表示できます。

行絶対参照と列絶対参照
エクセルでは行番号(1,2,3・・・)と列番号(A,B,C・・・)にそれぞれ$マークをつけて固定できます。
F4キーを押すたびに次のように切り替わります。
| 参照形式 | 表記 | 意味 |
|---|---|---|
| 絶対参照 | $A$1 | 行も列も固定 |
| 行絶対参照 | A$1 | 行のみ固定 |
| 列絶対参照 | $A1 | 列のみ固定 |
| 相対参照 | A1 | どちらも固定しない |
行絶対参照の使い方例
行絶対参照は行位置は固定され、列順は相対参照になる設定です。以下のような場合に便利です。
1.1行目には各列(B1~E1)に税率0~10%を入力します。
2.A列には各行に税抜き価格を入力します。
3.B2に『=$A2*(1+B$1/100)』と入力し税込み価格計算をします。この時『$A2』は列絶対参照で『B$1』は行絶対参照です。

4.B2の数式を列方向(C2,D2,E2)にコピーします。
すると消費税率の行は『1行目』で固定され、列は相対参照で、列番号に応じた税率で計算されます。

列絶対参照の使い方例
列絶対参照は列位置は固定され、行番号は相対参照になる設定です。
先ほどの例で、引き続き行方向(下方向)にコピーを行うと、以下のように計算されます。
『税抜き価格』の参照において、列は固定されているのですべてのセルの数式でA列を参照します。
一方で行は相対参照になっているので、3行目ではA3を、4行目ではA4というように、各セルの行数に応じて数式が更新されます。

F4がうまく効かない場合の対処法
Fnキーと同時に押す
ノートPCの場合、Fnキーと併用が必要なことがあります。
その場合はFnキー+F4キーを試してください。
Fnキーを1回押して、ショートカット機能をOFFにする
またキーボードによっては音量調節や画面の明るさ調節のショートカットがF1~F12キーに割り当てられていることがあります。
多くの場合、そのショートカット機能のON/OFFは、Fnキーで切り替えができますので、試してみてください。
さいごに
- 相対参照:コピーすると参照セルが変わる
- 絶対参照:コピーしても参照セルが固定される
- 絶対参照の設定:セルに 『$』 を付ける、または F4キーで切り替え
- 固定したい値(税率・定数など)には絶対参照が便利
絶対参照と相対参照を理解すると、
複雑な表でもミスのない数式が作れるようになります。
反対に相対参照となってほしいのに絶対参照があるせいで、思うように計算がされない場合もあります。
その場合は『Ctrl+F』の検索機能で$マークを検索してみましょう。
Excelの検索機能については以下の記事も参考にしてみてください。

皆さんのお仕事に少しでも役立てれば幸いです。ではまたノシ

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